2013年10月8日火曜日

六浦・金沢


六浦庄


六浦庄は、六浦本郷金沢郷富岡郷釜利谷郷の4つの郷からなります。承平元年(931)~天慶元年(938)に編纂された『和名類聚抄』(わみょうるいじょうしょう)には「武蔵国久良岐郡鮎浦郷」と紹介されているので、その昔は「鮎浦」(ふくら)と呼ばれていたようです。その後、「むつら」「むつうら」と転訛してきたと推測されます。唐船が三艘着いたことから由来する三艘という地名などからも、いかにも港らしい名残りが各所に残されています。元々天然の良港であった六浦の港は、北条泰時六浦道を整備したことから鎌倉の外港として発展・繁栄します。

中世六浦荘地形想定図

絵図は中世六浦庄の地形想定図です。六浦を調べていると、金沢貞顕嘉元三年(1305)に竣工させた瀬戸橋(上画像でいう瀬戸神社の辺りから竜華寺方面の陸地を渡す橋)が、著書・資料などでよく取り上げられています。
現在の瀬戸橋を歩いてみてもあまりピンときませんが、こうして当時の海岸線を確かめることによって、この橋の利便性や重要性が伝わるでしょうか。
なんと、金沢文庫駅から金沢八景駅間の京急線線路や国道16号線一帯が、当時では海の中だったんですね。確かに、鎌倉や三浦方面から称名寺へ向かう際、あの場所に橋があるとかなり便利に思えます。

現在の瀬戸橋
下絵図は近世に描かれた金沢で、画像の③が瀬戸橋。⑥は九覧亭といって能見台に並ぶ景勝地として賑わった金龍禅院。⑧の上行寺前の砂浜では塩場として活用されていたそうです。⑦の米倉陣屋辺りが現在の金沢八景駅です。

①称名寺 ②野島 ③瀬戸橋 ④瀬戸神社 ⑤琵琶島 ⑥金龍禅院 ⑦米倉陣屋 ⑧上行寺
それにしても視界いっぱいに海が広がっています。きっと現代の我々が想像する以上に美しい景観だったのでしょう。

平潟湾 上絵図の⑤の辺り

六浦庄の支配者


侍所別当の和田義盛が六浦を所領としていたことが分かっています。実際にも大寧寺跡近辺に和田山という字名が残されています。土地開発によって全て失われていますが、和田山ではかなりの数の遺跡群が発見されたそうです。
そして和田合戦によって和田一族が滅ぼされた後、六浦は北条氏の所領となり、義時の子で実康がこの地を相続し、金沢流北条氏となっています。
鎌倉幕府滅亡後は上杉氏が六浦を支配したようで、上杉憲方が開基となった能仁寺(廃寺)などが建立されています。

上行寺裏山から能仁寺のあった谷戸を眺めたもの




より大きな地図で 金沢・六浦 を表示
カテゴリー 探索記事(エリア別 六浦・金沢
記事作成  2013年10月8日

六浦・金沢エリア関連記事


六浦・金沢

六浦・金沢エリアをマクロ視点で解説

金沢から見える景色

金沢の史跡から見える景色をまとめてみました

称名寺

金沢を代表する寺社で金沢流北条氏の菩提寺

称名寺旧境内

称名寺境内絵図から往時の称名寺の姿を検証

金沢文庫

駅名ともなった有名な北条氏の文庫跡は金沢流北条氏の邸跡で御所だった?

称名寺裏山ハイキングコース

旧態が残された称名寺の壮大な裏山を堪能するハイキングコースを紹介

浄源寺跡

忍性や吉田兼好が住したとも云われる上行寺東遺跡と呼ばれる寺院跡

上行寺

土着の六浦氏が開基となった地元密着型のお寺

嶺松寺跡

瀬戸神社神官の千葉氏に関連した建長寺末の寺院跡

泥牛庵

近世において藩主の見晴らし台として活用されたお寺

能仁寺跡

関東管領上杉氏の六浦支配の拠点となった禅宗寺院の跡

金龍禅院

近世では多くの観光客が訪れた名勝の地

円通寺・東照宮跡

金沢八景駅に隣接する寺跡に残る謎の地形

瀬戸神社

頼朝が三嶋大社から勧請した金沢・六浦の海の守り神

権現山・御伊勢山ハイキングコース

六浦・金沢の遺跡が集中する丘陵の散策路を紹介

白山寺跡

磨崖仏ややぐらが残された白山道の名称の由来ともなった寺院跡

白山道間道

旧態として今も残る六浦の新旧幹線道路を結ぶ尾根道

浄林寺跡

堂字が残された生々しい寺院跡の正体は?

野島

金沢八景の一つである野島では縄文時代の貝塚が発見されています。

和田山遺跡

瀬ヶ崎の和田山にあったと伝わるやぐら群と砦跡

能見堂跡

金沢を代表する史跡のひとつ、能見堂跡

金沢文庫~北鎌倉ハイキングコース

金沢文庫駅から北鎌倉駅までのハイキングを紹介。

金沢道

瀬戸神社から能見堂跡までの金沢道をめぐってきました。

白山道

旧六浦道ともいえる白山道をめぐってきました。

釜利谷伊丹地区

釜利谷伊丹氏の拠点めぐり。

金沢八景ポイント

歌川広重が描いた金沢八景ポイントを検証!

紅葉便り 六浦・金沢編

六浦・金沢方面の紅葉を見に行ってきたご報告です。

2015年11月 鎌倉遺構探索便り ~金沢編

六浦・金沢・釜利谷にて金沢八景ポイントや旧道をめぐってきました。