2013年10月7日月曜日

浄林寺跡


今回紹介する寺院跡の探索はとても印象深い体験でした。何の事前情報もなくこれ程の遺跡に出会えた時の感動はひとしおです。という事で、皆さんともその感動を分かち合うべくドキュメント風に記事を作成しました。

鎌倉から朝比奈切通を抜け六浦の県道23号に出ると、大きめな家が目立ちます。昔からの地元の名手だったんでしょうか。敷地裏山に持仏堂?を所有しているお宅が何件かみられました。

矢印が民家敷地裏山に見える社
遠くの丘陵部沿いにお寺が見えたので行ってみることに。

その近づいた入口部です。画像では分かりづらいと思いますが、一応階段状の地形に成っています。その上には石造物が置かれていました。また横穴がちらほら見えます。画像にも写っています。この階段部分は使われていないためか、裏側にまた切通し路が施されています。


丘陵山腹には遠目から確認できたそのお堂がありましたが、出入口や窓部分など全て塞がれています。どうやら無住のお寺のようです。付近には近現代の墓石が置かれているので、使われてない訳ではなさそうです。

横浜市名木古木「イヌガヤ」という看板があった

奥に入って行くと、なんと、ありましたやぐら。10基ほどです。だいぶ風化しているようなので、羨道があったタイプのものだったのかなど、時代判定の難しい物件です。ただ、やぐらが施されていることから、この地は少なくとも13~14世紀頃から既に土地開発が行われているようです。

やぐら

更に奥へ行くと、「ええっ~」見事な切通し路です。踏み跡ではなくちゃんと切り通されています。

切通し

そしてやぐらなのか何なのか判別の難しい横穴

横穴

こちらも判別の難しい怪しい岩壁・・

石切り跡だと思われるが細かい造作がみられる

そしてこれまでの経験上、怪しい地形には付き物の竹やぶ。ひな壇状地形や道跡とも思えるほどの大きめな掘割状がありました。


こちらは井戸跡でしょうか。ちょっと深そうです。気付かずに足を踏み入れていたらかなり危険でした。


連なる切通し路を登った地点では、「ええっ~」大々的に地形が削平されています。そしてこれまたひな壇状などの細かい造作がみられます。



さて、これは一体なんなんでしょう。お堂とやぐらがあるので寺跡であるのは間違いありませんが、寺号もなにも記されていません。


探索後、図書館に立ち寄ってみましたが、手がかりが得られません。そもそもお寺の名前も分からないと調べようがありません。ほぼ諦めかけながら『かねざわの歴史辞典』というローカル誌を見つけパラパラとページをめくっていると偶然に「朝比奈町にあった寺」という一文が目に入りました。その項を読み進むと「明治初期に無住寺院廃寺法で廃寺」「堂が残っている」「境内に榧(かや)の古木があり横浜市の名木古木に指定されている」とありました。ありましたね横浜市の名木古木が、上の画像では「イヌガヤ」と記されていますが、ネットで調べてみたところ、ほぼ同種と考えてよさそうです。これで間違いなさそうです。

ということで、このお寺は寛文年間(1661~1673)頃に村のお寺として建立された浄林寺というお寺なんだそうです。ようやくここまで辿りつきました。
「やぐらが施されていた割には創建が新しくねぇ?」と思ったあなた、さすがです。なんとですね、東光寺の隠居所の小庵を寛文年間に浄林寺としたそうです。ですからこの地にはやぐらが施されていた13~14世紀頃にはこの浄林寺の前身となる東光寺の末寺、もしくは支院・塔頭があったようです。臨済宗建長寺派の東光寺なので、永福寺の一伽藍とも云われる二階堂にあったあのお寺ですね。

大きめなやぐらには祠が安置されていた
その他にも谷戸の入口には大きめなやぐらが確認できました。この小谷戸自体が寺地だったんでしょうか。裏山部分を含めてどこまでが東光寺末の領域だったのかまでは分かりませんが、とにかく旧態地形が残された生々しい寺院跡でした。ただ、民有地ではないかという心配が残ります・・。



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カテゴリー 探索記事(エリア別 六浦・金沢
記事作成  2013年10月7日

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