2013年10月6日日曜日

白山道間道


鼻欠地蔵


鎌倉から朝比奈切通を抜け、金沢に向かう途中の県道23号線沿いに有名な鼻欠地蔵があります。丘陵壁面に彫られた4m程の磨崖仏で、鼻が欠けているためにそう呼ばれてきたそうです。

鼻欠地蔵 矢印は人 地蔵の大きさがどの程度か伝わると思います

現代では鼻が欠けているとかそういう問題ではありませんね。そう言われれば輪郭などが確認できる程度でしょうか。言われなきゃ気付かないかもしれません。道路の拡張工事で膝辺りまで切り取られていると金沢区役所刊行『金沢の古道』に記されていました。下絵図を見てもらうとわかるとおり、地蔵は坐像なので、現在我々が見ているものは上半身部分のようです。

『江戸名所図会』鼻欠地蔵

新編鎌倉志』では武蔵国と相模国の境界にあることから境地蔵と呼称しています。また「北の方へ行く道あり、釜利谷に出て、能見台へ登る道なり」とあります。そう言われると、確かに鼻欠さんの後ろに丘陵へ登る道が確認できます。早速行ってみることにしました。


白山道間道


これから向かう道は上記したように、新編鎌倉志も取り上げている古道で、ここ六浦道と旧幹線道路であった白山道を往還する間道のようです。白山道は鎌倉側とのつなぎ目が大学や高速道路などの建設で失われていますが、どうやら下地図画像④か⑤の辺りにあったようです。また、瀬戸橋が瀬戸ノ内海に渡される前までは、白山道がメインの幹線道路であったため、朝比奈切通は出口(画像⑥)から画像の④か⑤に向かっていたと考えられます。ですからこの位置関係からも六浦道とは当初はこの白線の尾根道だったかもしれないと考えることもできます。鼻欠地蔵があったのもこの辺りが交通の要所だったということから起因しているようです。

Google Map 白山道間道
①鼻欠地蔵 ②分岐路 ③掘割状 ④白山道側出入口 ⑤白山堂跡 ⑥朝比奈切通出入口


それでは鼻欠地蔵背後にある丘陵登頂口へ向かいます。

登り道から眺めた六浦の街並み

丘陵頂部尾根は切通し路になっています。しばらくの間は底面がコンクリート舗装されていましたが、すぐに旧態を残す地形となります。

尾根切通し路
尾根から眺めた景色

山腹にやたらと広大に削平された平場がありました。昔は団地か何かがあったそうです。その名残りで切通し路にも若干影響がみられるようです。

左側が広大な山腹平場 団地跡らしい

途中にもの凄い掘割状が横たわっていたんですが・・ これをどの資料でも取り上げてないので近現代のものなのでしょうか。それとも間道に繋がる更なる岐路なんでしょうか。まさかとは思いますが、これが朝比奈切通から白山道に向かう道跡だったりして・・

掘割状

地図画像②の地点では畑として活用されている平場が広がります。この広さ、鎌倉中心部ならちょっとした谷戸です。付近には井戸跡などがみられました。


ここから一旦丘陵を下りて、ちょっと住宅街に出てみたところ公園の裏にこれまた掘割状が隠されていました。結構大きめです。古道跡だと思われます。そろそろ私の目も鎌倉遺構に慣れてきたので、間違いないと思われます。

公園裏にあった掘割状

ここで思いましたが、現在周知されている古道は当時では幹線道路だったような大きなものだけで、こうした生活道路クラスのものは伝わらずに土地開発の陰に隠れているのでしょうね。

それでは先程の広大な畑に戻って丘陵部を進みます。こちらも隠れるように隅っこにその先を行く道が残されています。


道は丘陵の崖面付近を通ります。木々の隙間から一面住宅街となっている景観を望めます。この辺りは釜利谷になりますね。


その後とりたて気になるものもなく、ただただ旧態地形を散策する感じでした。地図画像④の辺りに近づくと建物のすぐ脇を通る事になります。建物はこの辺りにある大学校舎の一部で、この道のためにどうやら敷地が分割されているようです。丘陵を下りると、高速道路などが視界に入り急に現代の様相となります。
想像をかなり膨らませないと往時の姿はなかなか見えてきませんね。




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カテゴリー 探索記事(エリア別 六浦・金沢
記事作成  2013年10月6日

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