2013年7月31日水曜日

正覚寺


山号寺号 住吉山悟眞院正覚寺
建立   天文十年(1541)
開山   然阿良忠
開基   -



正覚寺縁起


正覚寺(しょうがくじ)の寺伝によると、仁治元年(1240)に然阿良忠(ねんありょうちゅう)がここ住吉谷に悟真寺を建立したことにはじまります。その後、永正九年(1512)の住吉城の攻防によりお寺は焼失しましたが、天文十年(1541)に光明寺十八世長老の快誉によって再建され、その時に寺号を正覚寺と改めたそうです。
また、開山の良忠を荼毘に付した地として伝わっています。良忠は光明寺の開山でもあり、浄土宗の第三祖として崇められる高僧です。



正覚寺の地形


地図画像は正覚寺です。画像番号の①②③は平場を指します。④⑤は隋道です。『かまくら子ども風土記』に(正覚寺は)住吉城の大手(表門・玄関)とあるように、正覚寺境内は城郭としての造作が施されています。3フロアから成るひな壇状地形で境内が構成されていて、まさに戦場としての名残りを伝えてくるようです。④⑤の隋道は「住吉城跡 抜穴編」「くらやみやぐら」の記事で詳しく紹介しています。住吉城の抜穴として活用されていた可能性が高いものです。

①正覚寺平場 ②中段平場 ③住吉社平場 ④くらやみやぐら隋道 ⑤隋道

正覚寺境内の平場最上階に位置する住吉社は、飯島の、そして城の鎮守でもあったと考えられています。

地図画像②の中段平場から住吉社方面を眺めたもの
正覚寺境内最上階にある住吉社

この辺りが大々的な戦場となったのでしょう。正覚寺境内前には五輪塔や宝篋印塔など無縁仏となった中世の石塔が置かれていました。



然阿洞


面白い事に、正覚寺の寺縁起には「祐崇上人は住吉谷に入り、岩窟に移住して念仏を業とした」「本堂裏には、良忠上人が籠居し『伝通記』を書したといわれる洞窟(矢倉)然阿洞がある」とあります。まずこのことから光明寺の歴代の長老達が正覚寺にいたことが分かりますが、そして何といっても、岩窟・洞窟の話しが出てきたことが興味深い点です。境内にある隋道は住吉城の抜穴とも云われています。良忠の時代に既に正覚寺(悟真寺)に洞窟の類があったとなると、また話が変わってくるのではないでしょうか。

地図画像④のぼんばたけに通じていた隋道 くらやみやぐら
地図画像⑤のげんじがやとに通じていた隋道 現在は塞がれている
地図画像①の正覚寺境内にあるやぐらが半壊したような丘陵部壁面

境内には半壊というか全壊に近いやぐらのような跡がいくつかみられました。この然阿洞と呼ばれる洞窟の候補はやはり地図画像④⑤の隋道に限られるでしょうか。文面では洞窟と言い切っているので、かなり奥行きのあるものでなくてはなりません。
問題はこの④と⑤が洞窟ではなく出口のある(あった)隋道となっていることです。また、④のくらやみやぐらは明治か大正時代の頃に民用路として掘られたと正覚寺の方にお聞きしましたが、どちらにしろ④⑤共に隋道なので、原型となる窟穴のようなものが元々あったのかもしれません。どちらかが、もしくは両方ともに後世に手を加えられたとも考えられます。ただ結局のところ決め手となるものが見当たりません。

地図画像②の中段から眺めた景色 手前建物は正覚寺

『かまくら子ども風土記』に「この寺の境内から眺められる相模湾の景色は、まるで一枚の絵のように美しいものです」とありました。一番上のタイトル画像がその「この寺から眺められる景色」です。
同じく住吉城跡丘陵部の小坪側にある小坪寺の地は、浄土宗僧侶の隠れ家的な塔頭があったそうです。然阿洞の伝承からも、ここ正覚寺も良忠の隠れ家的な要素が強かったのかもしれません。光明寺が近いので、オフィスの近くに自宅を構える中小企業の社長さんみたいですね。

正覚寺から住吉山尾根に向かう道 良忠はここから光明寺に通っていたかも

正覚寺の寺伝には「頼朝が数珠を掛けたと云われる数珠掛松があった」と記されています。頼朝と飯島といえば有名なのが、『吾妻鏡』にも記されている亀の前という愛妾を飯島の伏見広綱の邸にに住まわせていたという逸話でしょうか。正覚寺にある数珠掛松の伝承からも、もしかしたらその亀の前を住まわせていた伏見広綱の邸とはこの辺りだったのではないでしょうか。頼朝が「政子に見つかりませんように」と願いをかけて数珠を松の木に掛けていたら面白いですね。
正覚寺の目の前にある和賀江嶋跡には祠が残されています。この辺りに老松があったとも云われているのでもしかしたらそれが数珠掛松かもしれません。

和賀江嶋にある石祠 港に関わる海の男達の信仰をあつめた神社跡でしょうか


より大きな地図で 小坪・飯島 を表示

探索期間 2012年8月~2013年5月
記事作成 2013年7月31日


□正覚寺 関連記事

くらやみやぐら

光明寺



□小坪・飯島地区 関連記事

和賀江嶋

小坪坂

小坪

住吉城跡 ~概要編

住吉城跡 ~抜穴編

住吉城跡 ~旧道編

住吉城跡 ~小坪寺社編