2013年6月27日木曜日

瑞泉寺裏山遺跡


瑞泉寺の寺域を囲むように大よそ80基ほどのやぐらが丘陵部に分布しています。その中でも瑞泉寺境内寄りの一群(地図画像A)と祥雲庵寄り(地図画像B)のものに大別できます。 また尾根を境に番場ヶ谷(馬場)側に分布する一群がありますが、これは『新編鎌倉志』にもあった「北条首やぐら」と呼ばれるものです。その名の通り、元弘の乱で自刃した北条一族の首を埋めた場所という伝承が残されています。こちらは当時では瑞泉寺の寺域ではなく、月輪寺(がちりんじ)に関連するやぐらと考えられています。また、瑞泉寺裏山は天園ハイキングコースの一部ともなっています。

Google Map 瑞泉寺

瑞泉寺裏山へ向かいます。当時からあったであろう切通し路を登って行きます。


尾根に出てしばらくすると、地図画像に記した各やぐら群とは別にポツンと一つだけやぐららしき横穴があります。『新編鎌倉志』の瑞泉寺項挿絵には開山堂禅窟というものが丘陵の高い位置に描かれているようにも思えます。もしかしたらそれなのかな・・とも思いましたが、何の確証も得られないので今も謎のままです。ただ、私は個人的に勝手にこれを禅窟やぐらと呼んでいます。


地図画像に記した「瑞泉寺裏山やぐら群A」に近づくと、ハイキングコースより低い位置に切通しがあります。どう見ても古道跡のようです。ハイキングコースと並行して先ほどの禅窟やぐらの方に続いているようにも見えました。「埋もれた古道跡」といった感じで雰囲気があります。


その先を行くと、ハイキングコース沿いにやぐら、一段低い場所に平場が現れます。やぐらは箇所によってはかなり風化しているものもみられます。


瑞泉寺裏山やぐら群 祥雲庵側


祥雲庵跡に近いやぐら群がハイキングコース尾根より低い位置に分布しています。やぐらの前面スペースが広めです。専門資料によっては、やぐらには前庭が施されていたともあったので、当時では何か目的のあったスペースの活用方があったのかもしれません。


また、付近には何かをハメ込むような造作のみられる壁面がありました。確か建長寺でも同じようなものがあったと思います。


そしてこちらが羨道外に宝塔が浮彫されているやぐらです。塔の形式は鎌倉期だそうです。なかなか他では見れません。窪みがありますが、何かをあの場所に置いていたのかもしれませんね。

矢印が宝塔の浮彫 玄室には低壇が施されている

付近は複雑な地形を成していて、少なからず人工的に造成されているのは確かなのだと思われます。地形を見る限りどうやら祥雲庵跡に下りて行けるような雰囲気です。当時ではそのまま登り下りができたのかもしれません。


その他にも、この辺りも庭園の続きなのかと思うような細かい削り跡などがみられます。踏み跡ではなく道としてちゃんと削られています。


北条首やぐら


そして場所を北条首やぐら群に移動します。上記しましたが、この一群は、『新編鎌倉志』によると、当時から地元では「首やぐら」と呼ばれているもので、北条氏一門の首が埋まっていると伝わっています。ここから天園方面に向かう途中に同じく北条氏滅亡時に関連する伝承を持つ貝吹地蔵が残されています。


こちらの一群で最も目を惹くのがこちらのやぐらで、 奥壁と床に納骨穴が施され、五輪塔、板碑、阿弥陀如来立像が壁面に浮彫されています。 こちらも五輪塔の形式が鎌倉期のものです。なんて退廃的に美しいやぐらなんでしょうか。

左側の矢印が五輪塔 右側が阿弥陀如来立像

近くには「瑞泉寺山内 北条家御一門御廟所道」と記された石標があります。裏側には文政十二年(1829)と刻まれています。当時から既にこの辺りが観光地であったようです。


また、辺りは壮大な塚とも思える程に地形が盛り上がっています。付近には石塔の一部らしきものが地中に埋まっているのをいくつか確認しましたが、中でも五輪塔の火輪部分と思われるものまでありました。


ここに北条氏一門が眠っているのか、伝承の真意は分かりませんが、彼らが最も恥じたとされる「敵方に遺体をさらされる」といった事もなく、その時無事に首が埋められていたことを願うばかりです。


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カテゴリー 探索記事(エリア別 二階堂・天園
記事作成  2013年6月27日

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