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瓜ヶ谷やぐら群

2014/05/04

やぐら 鎌倉市

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瓜ヶ谷やぐら群


地蔵座像が中央に鎮座する特徴的なやぐらを含む瓜ヶ谷やぐら群は、鎌倉でも人気の葛原岡ハイキングコースから少しだけ外れたところにあります。しかし多くの人が行き交うハイキングコースとはまた空気や雰囲気が全く異なる場所です。そしてこちらのやぐら群には多種多様な浮彫りが施されているので、やぐらという中世の葬送方式を理解するうえで持ってこいの史跡・遺跡とも言えるでしょう。

基本情報

名称 :瓜ヶ谷やぐら群
分類 :やぐら
用途 :墓
住所 :神奈川県鎌倉市山ノ内

公共交通機関:JR「北鎌倉」駅より徒歩で大よそ20分(葛原岡ハイキングコース)

瓜ヶ谷やぐら群へのアクセス


瓜ヶ谷やぐら群へは、浄智寺から葛原岡ハイキングコースを進み、竺仙梵僊の天柱峰を過ぎた辺りで蛇居ヶ谷の大掘割まではいかない中間に梶原方面に下りて行ける道があるのでそちらを下りて行きます。ちょうど案内板のある地点で、その案内板が示さない方に道があるのでわからないことはないと思います。

葛原岡ハイキングコース
この案内板の奥にある道を進む

季節やタイミングにもよりますが、ハイキングコースから外れる頼りない踏み跡のような道は今にも藪で覆われそうで足元もあまり良くありません。但しポジティブにとらえると、逆にこの悪路が「遺跡を見に行く感」を盛り上げてくれます。

何回も行くとこんなときもある

観蓮寺屋敷と円覚寺正続院領


『鎌倉市史 社寺編』に「山ノ内瓜ヶ谷に観蓮寺屋敷という田があり多聞院の持である」とあります。つまり現在今泉に所在する多聞院は、元々ここ瓜ヶ谷の辺りにあって、当時は観蓮寺と号していたようです。その名残りで、移転後も「観蓮寺屋敷」と称される田んぼが瓜ヶ谷にあったと記されています。したがって今回紹介する瓜ヶ谷やぐら群が多聞院の前身である観蓮寺のやぐらだったのかというと、そうとは言い切れず、あくまでも瓜ヶ谷のどこかに観蓮寺があったとしか記されていません。その可能性も無きにしも非ずといったところでしょうか。

一方で『鎌倉廃寺辞典』にある木束寺項によれば、黄梅院文書を引用し「もと名越花ヶ谷にあり、文安三年(1446)に円覚寺正続院領内瓜ヶ谷山上の昭西堂のあと地に移造した。」という記述が紹介されています。また風土寄稿によれば木束寺畑という名が残っていたとあります。これらが瓜ヶ谷のどこなのかは一切わかりませんが、ともかく臨済宗円覚寺派の所領が瓜ヶ谷のどこかにあったことがこのことからわかります。

瓜ヶ谷やぐら群前に広がる畑の景色

瓜ヶ谷やぐら群


さて、前置きが長くなりましたが瓜ヶ谷やぐら群です。群中にある特徴的なやぐらを紹介します。

五輪塔低壇窟


まずはこちら五輪塔の浮彫りを中央に配し、且つ低壇が施されたやぐらです。羨道があるタイプなので鎌倉期のようです。

五輪塔浮彫りを中央に配したやぐら
右壁
左壁

窟内は壁一面に低壇が施され、五輪塔浮彫りのそれぞれに納骨穴が用意されています。とても丁寧な造りに思えます。また下画像の左側は浮彫りというか線刻ですね。予算がなかったのかもしれませんが、小田原で鎌倉期の線刻五輪塔石碑を見かけたので、こういう例もあるようです。

浮彫りの下に納骨穴の造作

五輪塔梵字窟


こちらは後述する地蔵座像のある窟と繋がっているやぐらです。五輪塔の浮彫りが施されていて梵字が刻まれているのが確認できます。それから五輪塔の再現クオリティーが最も高いのがこちらでした。

五輪塔の浮彫り
隣と貫通している

地蔵座像窟


そしてこちら下画像は、瓜ヶ谷やぐら群の中でも最も豪華なもので、壁面に多用な浮彫が施されなおかつ等身大の地蔵坐像が中央に安置されています。解説のためちょっと番号をふってみました。現地に行ったときの参考にしてください。

①鳥居 ②矩形龕 ③五輪塔 ④横長龕 ⑤地蔵坐像 ⑥厚肉掘阿弥陀像 ⑦額縁型掘込み

①壁面に鳥居形を刻み、鳥居の中に石段、奥に社殿らしいものを刻んでいます。隣に地蔵立像が彫られていますが、市史に彫りかたが新しいとあったので、後世にて誰かが付け加えた可能性が高いようです。

左に地蔵立像 右に鳥居

②同じ形をした矩形龕が4つ並んでいます。下画像はちょっと暗いのでわかりづらいかもしれませんが、下に穴が開いているのが確認できると思います。納骨穴です。またこの4つの矩形納骨穴の上にも浮彫がみられますが、角ばった冠をいただき蓮座上に座する像が刻まれています。

矩形龕
像浮彫り

④こちらは大きめの五輪塔浮彫りと横長龕。

五輪塔浮き彫りと横長龕

⑤窟内の中央に位置するのは等身大の地蔵座像で首・光背上半部・両腕を失っています。風化が激しく細部不詳ですが、浄光明寺の地蔵坐像と類似点がみられると市史にあります。また背後に大きめの④五輪塔浮彫り、そして⑥厚肉掘と表現される阿弥陀像が施されています。

地蔵座像

⑦額縁型掘込みはなかなか他では見たことがありません。確かに、絵みたいでとても面白い浮彫りです。

額縁型掘込み

一見して中央の地蔵座像に目を奪われてしまいますが、矩形・横長・額縁と、多用な形状をした龕が刻まれているのがわかります。瓜ヶ谷やぐら群だけでやぐらの大よその勉強ができてしまいます。それにしてもこの地蔵座像、風化してしまっていることもあってか、地蔵というより、どこぞの王さまが椅子に座っているようにしか見えませんね。

地蔵座像窟
地蔵座像のダンディーな後ろ姿

西瓜ヶ谷やぐら群


ちなみにここから少し離れますが、同じ瓜ヶ谷にここと同じように浮彫りの施されたやぐらがあります。西瓜ヶ谷やぐら群と呼称されています。

西瓜ヶ谷やぐら群

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